こんにちは、「北九州・福岡エリアの医科・歯科クリニックの皆様の分院・開業・改修をサポートする」クリニックアーキテクトプロより、クリニック開設に役立つブログをお届けします。
ホテルのエントランスのような内装のクリニック、カフェのような内装のクリニックなど、内装がおしゃれなクリニックが増えていますよね。クリニックが増えているからこそ、内装は利用者を集めるツールにもなり、これからクリニックを開業するなら、注力すべきところです。しかし、内装だけでなく、レイアウトや外観、予算など多角的に考える必要があります。
今回は、クリニックの内装デザインを考えるにあたり、事例を交ながら、内装デザインのポイントをご紹介します。
色彩心理学の適用
色彩心理学は、色が人々の感情や行動にどのように影響するかを研究する分野であり、クリニックのデザインにおいて重要な考慮事項となります。色彩の選択は、単に空間を美しくするだけでなく、患者様の精神的な健康状態に直接影響を与えます。
たとえば、暖色系は活力を与え、寒色系はリラクゼーションを促します。しかし、過度に鮮やかな色は、不安や刺激を与える可能性もあるため、クリニック環境には適していません。そこで、色彩の選定にあたっては、柔らかいパステルトーンを用いることで、快適で穏やかな環境を作り出すことが推奨されます。このような配色は、特に子供や高齢者の患者に安心を提供し、クリニックの待ち時間がストレスの原因となることを減少させることができます。
また、環境に優しい塗料の使用や、季節や文化的背景に配慮した色の選択は、地域コミュニティに対する配慮を示し、患者様おひとりおひとりに敬意を表することにも繋がります。
〈具体的な事例〉
– 子供向けクリニックの待合室:ある子供向けクリニックでは、待合室の壁をライトグリーンに塗り、天井には青空のイラストを描いています。また、カラフルな椅子や絵本コーナーを設置し、子供たちが楽しく過ごせる工夫をしています。
– 歯科医院の診察室:ある歯科医院では、診察室の壁を淡いブルーに塗り、天井には星空のプロジェクションを映し出しています。これにより、患者がリラックスしやすくなり、治療中の不安を軽減する効果があります。
自然素材を取り入れる
温かみを感じられるおしゃれな内装に仕上げたい場合は、自然を取り入れることも考えてみてください。
主な対策としては、壁面緑化や、観葉植物や水槽の設置が挙げられます。
壁面緑化を行えば、壁や柱などに、大胆に緑を取り入れることができます。
施工業者にもよりますが、壁面緑化は生花だけでなく造花も選べるため、お世話の手間が心配な方も安心です。
ワンポイントで観葉植物を設置するだけでも、目にやさしい緑で患者様をリラックスさせられるでしょう。
また、水槽を設置すれば、泳ぐ魚が患者様を癒してくれる存在になってくれます。
スペースがない、あるいは設置に適さない場合は、木目調の家具や、自然モチーフの絵画などでも代用可能です。
〈具体的な事例〉
– 待合室の木材使用例:あるクリニックでは、待合室の床材に無垢材を使用し、壁面には木製のパネルを取り付けています。これにより、自然な温かみとリラックスした雰囲気を演出しています。
リラックスできる明るさに
クリニック内をおしゃれに見せるために、患者様がリラックスできる明るさに調節しましょう。
明るさ一つでおしゃれさは演出できますが、そもそも快適な明るさになっていない場合は、居心地が悪くなってしまいます。
例えば、クリニック内が明るすぎると、患者様の気持ちを落ち着かなくさせたり、ストレスを与えてしまいます。
逆に、暗すぎると陰鬱な気持ちにさせてしまうことがあります。
そのような空間は快適とはいえず、おしゃれさからも遠のいてしまうのです。
窓を増設して自然光が差し込むようにする、光が目にやさしく届くよう間接照明を設置するなど、さまざまな工夫が大切です。
居心地の良い空間は、体調が悪化している患者様の緊張やナーバスになった気持ちをほぐせるメリットもあるため、ぜひ検討しましょう。
〈具体的な事例〉
– 自然光の取り入れ例:あるクリニックでは、大きな窓を設け、自然光を最大限に取り入れています。待合室には、天窓を設置し、明るく開放的な空間を作り出しています。
最新の診察機器と
患者サービスに対応する内装
最新の診察機器
最新の診察機器を導入することで、クリニックの診療効率と患者満足度を向上させることができます。デジタルX線装置やCAD/CAMシステム、レーザー治療機器などが挙げられます。これらの機器を効果的に配置するための内装デザインが重要です。
患者サービスに対応する内装
患者サービスを向上させるためには、快適な待合室やプライバシーを重視した診察室が求められます。例えば、Wi-Fiや充電ステーションを設置し、待ち時間を快適に過ごせるようにすることが考えられます。
壁・床・天井の仕上材の選定
通常の設計では、使用者が通常の人ですから、割と自由なデザインができます。
こんなオフィスだったら働きやすい、こんな住宅だったら落ち着ける、といったことを想定してデザインします。
ところが、病院はデザインと価格ばかりで建材を選ぶわけにはいきません。
なぜなら、必要とされる機能が特殊だからです。
材料の選択を間違えると医療事故に?
床を素敵なデザインにしたいからと、柄物の長尺シートや塩ビタイルを選ぶとどうなるでしょう。
柄物ですから汚れはほとんど目立ちませんし、患者さんも楽しめるデザインになり、待ち時間に退屈しないかもしれません。
一方で、注射針を間違って落としてしまった場合を想定してみます。
そうなると、探すのがすごく大変です。また注射針が柄にまぎれてしまって、拾い漏れが出てしまうこともあるでしょう。
耐薬品性の仕上材、抗菌の仕上材、心理学的安心など検討すべき要素が多い
病院の仕上材は検討すべき要素が多いです。たとえば、精神科の病棟でジプトーンのような石膏ボードを天井に使用するのはNGです。
ジプトーンの変化に富んだトラバーチンの模様が虫に見えて暴れてしまうかもしれません。
このように、自由にデザインした結果、患者さんに不安を与えてしまったら困ります。
独自性のあるクリニック内装デザインの施工事例
内装制限やバリアフリー法を遵守すると、どのクリニックの内装デザインも同じになってしまうと感じるかもしれません。しかしルールを守りながら、独自性のある内装のデザインは可能です。弊社が施工した事例もいくつか紹介していますので、ぜひ参考にしてください。 施工事例はこちら
〈具体的な事例〉
– 抗菌塗料の使用例:あるクリニックでは、待合室と診察室の壁に抗菌塗料を使用し、清潔で安心感のある空間を提供しています。
スタッフのユニフォーム
クリニックは「歯科」「美容外科」「産科」など、診療科やジャンルごとにコンセプトを大切にした内装デザインにこだわっているところが多いでしょう。内装デザインに合ったユニフォームをチームで着用すると内装デザインとマッチし、患者さんに安心感や信頼を与えることができます。
一方で、クリニックの内装デザインや雰囲気に合っていないユニフォームを選んでしまうと、ちぐはぐなイメージを患者さんに与えてしまい、違和感を持たれてしまうこともあるので注意が必要です。「清潔感」「高級感」「安心感」など、クリニックの内装デザインや雰囲気と統一したキーワードをしっかりと決めて、それを基準に白衣とスクラブも選ぶのがおすすめです。
患者さんの信頼を得るためにも、クリニックは大切にしたいコンセプトに基づき内装デザインにこだわっています。クリニックの雰囲気にマッチしたユニフォームを着れば、クリニックのコンセプトが伝わりやすくなるでしょう。
〈具体的な事例〉
– クリニックカラーを取り入れたユニフォーム:あるクリニックでは、クリニックのブランドカラーを取り入れたユニフォームを採用し、統一感のあるプロフェッショナルなイメージを提供しています。
まとめ
クリニックや歯科医院などの医療機関における内装は、患者の第一印象を左右するため大変重要です。
働くスタッフにとっても、気持ちよく働けるかや仕事の効率に関わる要素でもあります。
どのようなクリニックをつくりたいか「コンセプト」を明確にするのが、内装を考えるうえで大切です。
納得のいくクリニックをつくるためにも、本記事で紹介した注意点・ポイントを押さえて内装に活かしましょう。