クリニックアーキテクトプロの櫨本です。クリニックの開業を考えるとき、土地の造成が必要になることがあります。このコラムでは、造成とは何か、なぜ必要か、費用と期間を決める要素、進め方と注意点を、建築の側から説明します。

土地の造成とは
土地の造成とは、土地を建物が建てられる状態に整える工事です。土地の形や地盤を整えて、建築に使えるようにします。
北九州市や下関市のように、起伏のある地域では、造成が計画の大きな要素になることがあります。造成が必要かどうか、どの程度の工事になるかは、土地を見てみないと分かりません。
なぜ土地の造成が必要なのか
安全のため
地盤が弱い土地や、整っていない土地では、建物が安定しにくくなります。造成工事で地盤と敷地を整え、建物を支える基盤をつくります。
建築計画を立てやすくするため
整地された土地では、建物の配置や駐車場の計画を立てやすくなります。患者様が通いやすい動線や、出入口の位置も、敷地の形に合わせて決められます。
排水や周辺への配慮のため
造成工事では、排水の計画や、敷地まわりの整備も行います。雨水の流れを整えることで、敷地と周辺への影響を抑えます。
造成の方法の種類
造成には、土地の状況に応じた方法があります。
- 平坦にする:土地を平らに整地する、基本的な方法です。
- 盛土(もりど):低い部分に土を盛って、高さをそろえる方法です。
- 切土(きりど):高い部分の土を削って、高さをそろえる方法です。
- 擁壁・土留め:高低差のある土地で、土が崩れないように支える壁をつくる方法です。
どの方法を選ぶかは、土地の形、高低差、地盤、周辺の状況で決まります。
造成の進め方
造成は、次の順で進めます。
- 目的と予算を確かめる
- 土地の状況と、法規制を確認する
- 樹木の伐採、既存の構造物の撤去
- 整地、盛土・切土
- 排水や擁壁などの付帯の工事
- 地盤調査と、必要に応じた地盤改良
地盤調査と地盤改良
建物を支えられる地盤かどうかは、地盤調査で確かめます。調査の結果、地盤を補強する必要があれば、地盤改良工事を行います。表層改良、柱状改良、杭による補強など、地盤の状態に合わせて工法を選びます。
土の流出を防ぐ
盛土や切土のある土地では、土が流れ出ないよう、高さや勾配を適切に整え、必要に応じて擁壁や排水の計画を入れます。工事で土が露出した場所は、植栽などで土を保つ方法もあります。
費用と期間を決める要素
費用と期間は、土地の形、高低差、地盤、道路や上下水道の状況で大きく変わります。まず現地を見て、概算を出します。
費用には、次のようなものが含まれます。
- 整地、盛土・切土の費用:土地の形と規模、使う機械や人手に応じて変わります。
- 地盤改良の費用:地盤が弱い土地で必要になります。
- 道路や上下水道の引き込みの費用:敷地まで設備が来ていない場合に必要です。
- 擁壁や境界の工事の費用:高低差や隣地との関係で変わります。
- 許可申請や手数料:土地のある自治体の決まりによって変わります。
期間は、地盤改良が必要か、上下水道の引き込みが必要か、季節や天候はどうか、によって変わります。工程は、建築会社や不動産会社と相談して、事前に確かめます。
地盤調査を、土地の契約の前に
造成が必要な土地では、地盤調査と造成費の概算を、土地の契約の前に出します。地盤の状態が分かると、予算と工期を見通しやすくなります。あわせて、用途地域や建築基準法の規制も確かめます。
造成と建築を、同じ会社が見る意味
土地の条件と建物の計画を、同じ会社が一緒に見ると、費用のぶれを減らしやすくなります。
- 工程の連携:造成から建築まで、会社間の連絡の手間が減り、日程を組みやすくなります。
- 費用の見通し:造成と建築を合わせて見積もれるため、全体の費用が見通しやすくなります。
- 品質の確認:全体の工程を把握しやすく、問題が出たときの対応も早くなります。
- 設計との調整:造成の段階から、建物の配置や設計について相談できます。
造成で確かめておきたい点
- 地盤の強さ:調査の結果に応じて、地盤改良を検討します。
- 周辺への配慮:樹木の伐採や整地は、環境と隣地に影響が出ることがあります。近隣の方へのあいさつと、工事中の配慮を行います。
- 法規:高低差のある土地では、擁壁や、工作物の確認申請が必要になる場合があります。設計の段階で確かめます。
- 見積もりと契約:項目と範囲を確かめ、予算に収まるよう、内容を確認します。
まとめ
土地の造成は、建築のための土台づくりです。費用と期間は、土地の条件で大きく変わるため、まず現地を見て、地盤調査と造成費の概算を、土地の契約の前に出します。
候補の土地がある先生は、お気軽にご相談ください。企画設計・プランニング・概算見積(たたき2案)までは無料です。ご相談は無料相談のページから、医院づくり全体の流れはクリニック建築の進め方に、よくあるご質問はよくある質問のページにまとめています。